2012年7月7日土曜日

くふうのぞうさん



築何十年の古い賃貸マンションに住んで、もう長くなります。


初めは、あちこち手直しして、何とか住みやすくしようと努力していました。
幸い、夫が器用なので、わたしの要望に応じて棚や箱ものを作っては、あの手この手で家が快適になるようにしてくれました。


さて、ある日、図書館で借りてきた町田康氏の短編集『権現の踊り子』の中に、「工夫の減さん」という話がありました。減さんは工夫をするのだけれど、お金がないものだからちょっと節約気味のものを作ってしまい、それがあだになって益々貧乏になっていくような話だったと思います。
我が家は、節約は特に意識していなかったのですが、工夫に工夫を重ねていくと、いじましくもなってきて、「工夫の減さん」にぴったりと波長が合います。以来、我が家では、日曜大工もどきや工作をやるときは、必ず、「工夫の減さん」の名が出るのでした。


でも、それから早10年、本当に我が家は減さんになってしまったのか、ステップアップして引っ越しをする見通しもなくなってしまいました。
特にここ2,3年は、本当に器用貧乏で小まめな家人も、思いついたらトコトンやる私も、元気が出ません。何となく家らしい家にはなっていても、老朽化で傷みが激しい水回りや、建材の偽物チックな空気感が、すべてを淀ませてしまいます。
窓も開けにくい暗い家の中で、私は片付けはするものの、細かいところを掃除したり磨いたりする気が失せて、半ば自棄気味に。


そんな中、これまで作ってきた箱や、食卓の一品をデジカメで撮ってみると、なかなか楽しかったので、ブログに載せてみようかということなりました。ブログのタイトルは、減さんではゲンが悪いので「くふうのぞうさん」を考えましたが、おじさんぽいということで、却下となりました。


「うさぎの切りかぶ」にしても、うさぎと切り株は、韓非子の「守株待兎」から「待ちぼうけ」の歌にまでなっていて、験のよいタイトルとはいえないでしょう。
その寓話とは関係なく、切り株の上でモノを並べて喜んでいるうさぎのように、我が家のテーブルを舞台に、作ったものや好きなものなどを並べて記録していこうかなと思っています。


そう考えると、もう一度、住むところを大事にしたいという気持ちになれて、元気も出てきました。


減さん、ありがとう。





韓非子 wiki,jp
  守株待兎 「楽しいことわざ教室」さん