前に家具屋さんのHP(今はブログに移行)で紹介させてもらった記事(2009.9月)から転載。それは”家具と家にまつわること”で作ってみた、おまけのページでした。
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京都御所の近くに同志社大学創設者である新島襄の旧邸があります。
ずいぶん昔、雑誌『サライ』に紹介されていたのを読みました。
ベランダを3面に張り巡らせたコロニアル様式の洋風の外観、中は和洋折衷で、家具がしっくりと落ち着いた書斎の写真に魅せられました。新島襄が自ら設計しローコストに徹したというのにも惹かれて、ある年の9月、公開日に合わせて寄ってみました。
といっても、見学したのはかなり前のことで、案内書でもらったパンフやネット記事を参考にして確認してみますと、この新島襄旧邸は、新島氏がアメリカ人の宣教師であり医師であるテイラーの助言を受けながらの設計だったそうです。
ローコストというのは、ボストンの友人シアーズから住宅資金にと寄付されたお金で学舎や教会を建てた後、その残りで建てた私邸だからで、その予算の中で、日本の蒸し暑い夏の気候に合う工夫が凝らされています。
実際、足を運んでみると、雑誌で見たときより実物のほうが遙かに面白くて、よく考えられた家の間取りに驚きました。
階段が二つあって、家の中をうまく行き来できます。子どもだったら、どの部屋へ出てみようかと、上がって降りて、走り回っていたかもしれません。
広いお台所には竈と木製の流し台と井戸もあり、どれも大きく清潔な感じで、食堂もすぐ横で非常に使い勝手がよさそうでした。<「新島襄旧邸の台所」(アトリエかわしろ生活館さん*後注)に素晴らしいイラスト図や写真、解説があります。必見>。
建物の特徴となっている2階のベランダと深い軒はもちろん気持ちがよく、回廊好き、縁側やバルコニー好きの方にはお勧めです。
家具が少ない2階と違って1階は居間や応接室に書斎などがあるため、家具調度品がいろいろ置かれています。椅子やテーブルなど明治初期には家具としては珍しかったでしょう。でも、外観こそ洋風ながら、中はどこか懐かしい日本の家で、ちょっとモダンな設備も備わった建物にごく自然に家具が溶け合っていました。
一生懸命考えて造りを工夫し、暮らしに合う家具を愛用した家は、とても魅力的に思えます。新島襄旧邸はローコスト住宅で造りは簡素ですけれど、豊かな趣のある家でした。
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と、家具屋さんのHPらしいまとめ方になって、今、読み返すと恥ずかしいのですが、京都へ行く機会があれば、また訪ねてみたいと思います。
公開日が限られているのでご注意ください。
こんな立派なページができていたとは、知りませんでした。間取りが見られます。
クリックすると、立派な写真も出てきます。
力を入れているようです。10何年か前に行ったとき、入り口の案内所で葉書を購入して、そのつまらなさにがっくりしましたが、今はきっと素敵な写真葉書になっているに違いないと思います。
でも、案内所や邸内で監視兼ガイドをされている方々の、建物を愛しんでおられる気持ちが溢れていたのを思い出しました。皆さま、暑い中でも楽しそうでした。
*個人のサイトでは例えば、
遊行さんは、別ブログ「うさぎの聞きかじり」で「セノオ楽譜」の記事や「死者の書」などでも、参考にさせていただいています。
文中の「アトリエかわしろ生活館」(top)さんも同じく、別ブログ「うさぎの聞きかじり」内の「シャルロット・ペリアンと日本展 椅子の話 (2012.3.17)」記事でも、参考にさせていただきました。
こうしてみると、皆さまのブログの方が、写真付きで、よくおわかりになると思います。